恋を、拳と共に

康太 1


――女子って、何だか、ふわっと軽いんだな。


電車の中で、さっきの出来事を思い出す。
ほんと、危ないところだった。
俺が抱き止めていなかったら、あいつ、大怪我してたかも。


俺は、母の言うように無口でつまんない男子だ。
友達も少ない。中学から同じ学校の、親友の進藤祐一くらい。

周りからもあんまり親しくしてもらえてない、ような、……気がする。

自分では、背が高くてあんまし話すの上手じゃないせいかなと思ってるけど、
もしかすると、やっぱりどこか取っ付きにくいのかもしれない。


だから、いつも明るくて元気な藤沢は、見ててうらやましくて。


――いつからか、俺は藤沢のことを。


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