恋を、拳と共に
秦野くんが私を好きって言ってくれて、
私も、好きかも、って言ったけど。
そしたらどうしたらいいんだろ。
何すればいいんだろ。
考えながら歩くうちに、駅に着いた。
定期を持ってきていなかった秦野くんはホームまで来られなかったので、
改札口で電車が来るまで少し話をすることにした。
「あのね、聞いてもいいかな」
「うん」
「こういうことになったら……何したらいいのかな」
「こ、こういうこと……って言うと、その」
「う、うん、あのね、好き、とかそういう、お互いに」
「あー……」
そう言ったまま、秦野くんは上を向いて考え込んでしまった。
あぁ、やっぱり、やっぱり、聞いちゃいけない話の類だったのかも。
こういうのはきっと、なにか、暗黙の了解のうちに進んだりするんじゃ……