恋を、拳と共に
湯船でのんびりしていても、いろいろ思い出してしまう。
『秦野くんに、好きだって言われちゃった』
あの日の夜、千里にメールしてみたら、
一言、『応援してる!! 頑張ってね~』ってだけで。
翌朝学校で文句を言ったら、知ってたと聞かされてびっくりした。
茜みたいな子には秦野くんはぴったりだと思う、なんて言われたりして。
そうなのかなー。
自分では、あんまりよくわかんないけど。
でも、あんな風に、真剣に、
誰かから想いを告げられたことなんて初めてだったから。
その気合いのようなものに押し負けたような気もする。
いや、勝ち負けとかじゃ、ないんだけど。
……何考えてるのかよくわからなくなってきちゃった。
私はのぼせないうちに、お風呂から上がった。