恋を、拳と共に
康太 12
相変わらず寒い朝が続いている。
この間割れてしまった爪のあたりもだいぶよくなってきていた。
今日から部活の朝練に復帰するため、俺は早めに家を出た。
ほんの数十分くらいの差だけど、すごく早く出てきた気がする。
ふぁあ、と思わずあくびが出てしまう。
目の前からものすごくたくさん、息が白くなって広がっていった。
――すげー真っ白。
涙でにじむ視界の向こうを眺めてちょっと感動しながら、俺は駅までの道を急いだ。