恋を、拳と共に
「俺さー、萩野さんと茜ちゃんが仲良しっぽいから、萩野さんに聞いてみたんだよ」
俺は相槌のつもりでうなずく。
「そしたらさ、個人情報だから本人に了解取らないと教えられないって。
しかもさ……放課後にどうだったか聞いたら、『断る!』って伝言で……。
そこを何とか、って言ってみたんだけど、"これ以上しつこくしたら、茜から拳が飛ぶよ"って脅された」
「なるほど」
間違ってはいない。今朝もそのことで先生から話があったばっかりだし。
しかし、拳が飛ぶとは、穏やかではない。
「でも、とりあえず、少しは茜ちゃんのこと、判ったぜ」
「おー」