恋を、拳と共に
「まず、『ホントは空手部があれば入りたかった』『毎朝10回、空手の突きみたいのしてから家を出る』」
「……それを踏まえての"拳が飛ぶよ"発言か」
「あとは、一人っ子、電車通学、苦手な人はチャラい人……とりあえずこれくらいかな」
「ありがとな。 とりあえず俺、チャラくなくてよかったわ」
「だな。お前、なんかそういうの似合わねーし」
とりあえず俺は、祐一を購買部に誘って、紙パックのリンゴジュースを2本買った。
1本を祐一に渡す。
「これ、ありがとうの気持ちってことで」
「おぉ……康太、なんか太っ腹だな」
「いや、俺も飲みたかったからな」
「いいヤツだな、お前」
「はは、今頃気付いたか」
二人であっというまにストローで飲み終わって、ゴミ箱に捨てたところで予鈴が鳴った。
俺たちは足早に、教室へ戻った。