恋を、拳と共に

あの、あのさ、
これは、先輩の後をついて走っているだけなんだ。
たまたま、このコースになっただけなんだ。
……だから、ちょっとだけ、眺めてもいいよね?

俺は走りながら、誰に対してか判らないけど、言い訳をしていた。



トラックで走っている陸上部の横では、野球部がキャッチボール中で、
危険がないようにとの野球部の配慮か、彼らは校庭の外周に近い方で投げていて。

必然的に俺たちランニング組は、陸上部と野球部の間を走ることになってしまっていたのだ。



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