恋を、拳と共に

改札を通り、駅のコンコースを抜ける。
ホームへ向かう途中。

「あ、秦野くんもこっち行きでいいんだ?」

「うん」
説明するより早いかと、俺は定期券を見せる。

「私の降りるいっこ先の駅だったんだねー」

藤沢も、にこにこしながら定期券を見せてくれた。
確かにひとつしか駅が違わない。

「ほんとだ、隣だね」

電車が来るというアナウンスが聞こえて、俺たちは少し急ぎ足でホームへの階段を下りる。
そのまま到着した電車に二人で、ごく自然に、同じドアから乗り込んだ。
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