恋を、拳と共に
――さて、いつ、さりげなく切り出そう……
俺がまた、頭の中で策略を練り始めた時。
「秦野くん、窓から外がよく見えそうで、いいなぁ」
「え、え? そう? なに、藤沢、よく見えないの?」
「ちょうどね、ほら、ドアのここ。必ず広告のシールが貼ってあるじゃない」
「あぁ、『開くドアに注意』とかの、このシール?」
「そう、これのせいでいつも、視界が半分くらい、さえぎられちゃうんだ」
背の低いコの視点なんて、気にしたこともなかったなー。