恋を、拳と共に
茜 4
「メアド、きいてもいいかな、藤沢の」
……なんだか今日はよくメアドを訊かれる日だなぁ。
そう思ったので、思わず正直に言ってしまう。
「何だか今日は、千里……じゃない、萩野さん経由で進藤君からも訊かれてたんだよ? 私のメアド」
「いっっ…そ、そうなの? なんだ、奇遇だなぁっ」
「こういう日もあるものなのね。じゃあ、送るから、秦野くんもケータイ出して?」
私はカバンからケータイを取り出した。
秦野くんの電話に赤外線通信で送れるように準備する。
お互いにケータイの黒い送受信部分を近づけ、データの送信を開始した。