恋を、拳と共に
画面に、送信が完了したという表示が出たので、秦野くんに確認してみる。
「こっちは完了したって。秦野くんの方は?」
「俺も。……うん、ちゃんと登録されてる」
「私も大丈夫みたい」
電車がちょうど、私の降りる駅に近づいていた。
ケータイをカバンに入れて、代わりに定期券を取り出す。
「じゃあ、また明日ね。おつかれさまー」
「おつかれさまでしたー」
秦野くんが律儀に"でした"まで言うのを聞きながら、電車を降りる。
ホームに立ち止まり、動き出した電車を見送りながら、秦野くんに向けて、小さくバイバイ、と手を振った。
秦野くんは、ちょっぴり微笑みながら、軽く右手を上げてくれた。