恋を、拳と共に

康太 4


まだ握り締めたままのケータイが、振動している。
開いてみると、メール着信だった。

『藤沢 茜』

さっき交換したばっかりの……
藤沢からの、メール。

そういえば、祐一経由でメアドを聞き出す作戦が失敗した理由、わかってよかった。
俺のために祐一が訊いてくれようとしてた、なんて、さっきは言い出せなかったけど……。
外見と違ってほんとはいいやつなんだ、って、今度ちゃんと説明しよう。


ちょっとドキドキしながら、メールを読む。


『今日もいろいろおつかれさまでした。
また明日も頑張ろうね!  --藤沢茜』


……うん、頑張る。頑張るよ。
しみじみと感じ入りつつ、ケータイを更に握り締める。

ここで、あ、メールを返せばいいのか、と気付いた。

しかし、何て返事したらいいんだ。
悩んでいる間に駅に着いたので、電車を降りる。


――そうだ。祐一に訊けばいいかも。

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