恋を、拳と共に
三章 秋の夜長は
茜 5
「藤沢さん、二学期の体育祭で応援団員引き受けてくれないかな?」
夏休み前、私は、困り顔の陸上部の先輩に声を掛けられた。
――そういえば、一年の時に見た体育祭の応援団、かっこよかったかも。
私は先輩を助けるという理由もあって、引き受けることにした。
実は一番の理由は、応援の太鼓に合わせて掛け声と共に突きをするのが、ちょっと魅力的で。
私は声も通るし、結構向いてたりするかも……なんて考え始めたら、楽しくなってきたのだ。
頼んできた先輩もほっとしていたし、一挙両得。