恋を、拳と共に
茜 6
翌朝、登校後。
教室に入ると、秦野くんが声を掛けてきた。
「藤沢、おはよう」
「あ、秦野くん。おはようー」
「学ランの話なんだけど……」
「あ、うん」
「進藤がね、今日一日、風に当ててから渡すから、帰りに取りに来てもらえないかって……。
俺が紹介したんだから、祐一の家までちゃんと責任持ってついていくから」
「う……うん、わかった。応援団の練習終わったら、急いで教室に戻るね。
お待たせしちゃうかもしれないけど」
「いいよ、大丈夫。じゃ、また放課後にな」
――男子と混ざって帰ることになるなんて、なんか緊張するなぁ。
秦野くんだけならわりと大丈夫だけど、進藤くんも一緒だと何か気を使っちゃいそう。
あとで、千里に、一緒に帰ってもらうように頼んでみちゃおうかな。