恋を、拳と共に
昼休み、私は千里に声を掛けた。
「千里、今日の帰り、ちょっと付き合ってもらえないかな?」
「ん、部活のあとは特に何もないから、いいけど」
「進藤くんから学ラン借りることになってね、
秦野くんと進藤くんと私で、今日の帰りに進藤くんちに取りに行くの。
でもなんだか心細いから、一緒に来てほしいんだけど」
「応援団の? 秦野くんからじゃなくて、進藤くんから借りるの?」
「だってー……身長考えてみてよ」
「あ、そっか。確かに、サイズ違いすぎだね」
千里に笑われてしまった。
むー。
私が小さいんじゃなくて向こうがおっきいだけなのに。
「じゃあ、帰りは教室で茜のこと待ってればいいかな?」
「うん、ごめんね。よろしく」
チャイムが鳴って、私たちは自分の席へと戻った。
――これで安心。
私は気持ちを切り替えて、授業に臨んだ。