恋を、拳と共に

康太 6


放課後になった。

今日の部活は、"家で用事があるので"と言って、休むことにした。

部活が終わってからでも間に合ったかもしれないけど、ぼんやりして、顔でスパイクを受け止めそうだったから。


……今度は偶然じゃなくて、最初から藤沢と帰れる。
楽しみだけど、何か緊張してきた。


落ち着かないので、教室を出て、1階の購買部の自販機へ向かう。
俺と、祐一と、あと藤沢も飲むかもしれないから、3つ分、スポーツドリンクのペットボトルを買う。


――もしかしたら、藤沢、甘いやつのほうが好きかな。


そう思って、紙パックのリンゴジュースも追加で買ってみる。
急に、こんなに飲み物抱えてうろうろしてるのが恥ずかしく思えてきて、俺は慌てて教室へ戻った。

< 57 / 185 >

この作品をシェア

pagetop