恋を、拳と共に
茜 7
あー、やっと終わったー。
今日の練習も、なかなかハードでしたっ。声出しすぎて、ガラガラになりそう。
私は手早く体操服から制服に着替え、千里たちが待っている教室へと足早に向かう。
前のドアをガラガラっと勢い良く開けて、私は言った。
「お待たせしましたー、ただいま練習より戻りましたー!」
「おっ、茜、おつかれさまー」
千里が真っ先に手を振ってくれる。
「おつかれーっす」
「おかえりー、茜ちゃん」
秦野くんと進藤くんもそれぞれ声を掛けてくれた。
……にしても、進藤くん、なんか馴れ馴れしいなぁ。
「茜ちゃん、悪いね、うちまで来てもらうことになって」
「いえいえ、急に借りるって言った私もいけなかったし」
一応、警戒しつつ、答える。
「どれか飲みたいの、ある?」
秦野くんが飲み物を見せてくれたので、好きなリンゴジュースをもらうことにした。
疲れてるからか、甘くて冷たくておいしい。
秦野くんは、ほっとしたような表情で私を見ていた。