恋を、拳と共に
康太 7
――あぁ、俺、今なら、なにも思い残すことはありませんっ。
――そして藤沢、ごめん、無理やりでごめんっ。
またも、どこの誰に対してだかわからないけど、
懺悔にも似た言葉を繰り返しながら、
俺は家まで自転車を飛ばしていた。
藤沢に、俺の身体に腕を回させる、なんてことは。
清水の舞台からバンジージャンプで飛び降りて、反動でそのまま大気圏外まで行けそうなくらい、ものすごくものすごーく、思い切った決断だった。