恋を、拳と共に
ベッドにもたれたまま、俺はいろいろ思い出していた。
つかんだ藤沢の手首の細さ。
ぎゅっと俺につかまってくる、藤沢の、温もり。
少し困ったような表情で俺を見上げる、ホームでの藤沢。
――藤沢も、俺のこと、少しは気にしてくれるようになったらいいな。
俺が藤沢のことを考える一万分の一でもいいから、俺のこと気に掛けてくれたら。
窓の外に、星が数個、光っているのが見えた。
またたく星の光を見ながら、俺はそんなことを考えていた。