恋を、拳と共に


あの日は駅から家に帰る道で、千里にメールで相談してしまった。

『成り行きというか何というか、
秦野くんの自転車の後ろに乗ることになって、
秦野くんに腕を回してつかまっちゃいました…
どうしよう 恥ずかしいよう
  -あかね』

『私も進藤くんの後ろに乗ったとき、そうやって乗ってたよー
だって落ちたら危ないじゃん
恥ずかしくないよ、だいじょーぶ
  -チサト』

千里からそう返事が来たけど、
じゃあどうしてこんなに、さっきのことを思い出すとドキドキしてくるんだろう。
そう千里に送ってみる。

『なんかドキドキするんだよ?
何なんだろう…
  -あかね』

『茜って
どういう人がタイプなんだって言ってたっけー
  -チサト』


どういう人が、タイプか、って?
いつも言ってたじゃん、千里には。
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