恋を、拳と共に

練習したとおりに、声を上げ、腕を挙げて手を振り、
揃って構えて拳を突き出す。

今やらなくちゃいけないことを、頑張らなくちゃ。


「さんっさんっななびょーーし!」

私の発声の番だったので、澄み渡った秋空に向かって、
お腹の底から思いっきり、張りのある声を上げた。


――秦野くん、私のこと見ててくれてるかな。


私、頑張ってるから。

私のこと、ちゃんと見つけて、応援しててください。


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