恋を、拳と共に

二週間が瞬く間に過ぎ、
今日は球技大会当日である。


この競技の結果は、特に個人の成績に反映しない。
なので、無気力モードに入る生徒も数多い。
体育館の壁にもたれて座り込み、携帯をいじったり、
挙句には片ひじついて横になる者まで出てくる始末だ。


しかしそんな中、ひときわ高く響き渡る声。

「ぅおらー、張り切って、いっくよーー!」

声の主は、私。
毎朝の"気合いの10回突き"のおかげか、お腹の底から出す声はよく通る。
チームメイトにも気合いは伝染し、そこだけはサウナのように熱気が満ちていた。


気合いのおかげか、女子バレーは私たちのチームが決勝に進んだ。
勝利の余韻が冷めやらぬ中、千里から声が掛かった。

「ね、茜、男子の方見に行こうよ」

「まだ終わってないんだ? 行く行くー」

私たちは、男子バレーの応援に向かった。


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