恋を、拳と共に
でもやっぱり、まだ好きとか何にも言ってないのに、
まだ自転車の後ろに乗ったくらいなのに、
でもやっぱりこれでは、
「アンタに触られるなんて冗談じゃない」って言ってるようなものではないか。
そんなつもりは少しもないのに。
――やっぱり、あとで絶対、謝る。
ダンスも終盤に差し掛かっていた。
表面では笑顔を絶やさず、元気に飛び跳ねて。
今日のために練習してきたんだから、全力を尽くさなきゃ。
最後の決めポーズと共に、みんなで掛け声を合わせる。
理想の出来だ。
お互いに顔を見合わせ、微笑みを交わす。
みんな、満足そうな表情だった。