天使と悪魔―先生と彼女、二人の特別な事情
◆夜に想う1/2◆

街がクリスマス・イヴを迎えて華やいでいた頃、私は研究棟の廊下から新宿の夜景を見ていた。


今夜、あの灯りの下でたくさんの恋人たちが幸せな一刻を過ごしているんだろうな。

家族みんなでケーキを囲んでいる家もあるかもしれないな。


私は誰もいない暗い研究室でたった独りだった。


寒かった。

すごく寒かった。

こんなに寒いのはどうしてだろう?

声が聞きたくなった。

みずえちゃんに電話をかけた。
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