俺カゴサイドストーリー
このお見合いが成功するのが今の虎宇の望みなわけで。



雷さんと少し話してお店を出た。



あたしも雷さんと留宇には幸せになってもらいたい。



だって…あたしと虎宇は結婚なんてできないから。



だからあたしの分と虎宇の分もふたりには幸せになってもらわなきゃ困る。



あたしみたいな中卒でノラ猫みたいな女は虎宇の相手にはふさわしくないし。



まず、付き合った時に結婚はできないと言われているから諦めてる。



虎宇には婚約者もいるらしいし、結婚は仕事の一環だと言っていた。



きっと虎宇くらいのお坊ちゃまは政略的に結婚するんだろう。



『その時が来たら別れるの?』



そう聞いたら、虎宇にこう言われた。



『アスカは俺のでしょ。いなくなるとか、絶対許さない』



なんとも自分勝手な言い分だった。



あたしは一生独身を貫かなければならないらしいよ。



まぁ、虎宇といれる事実だけで満たされるからそれでいいけど。



あたし、虎宇以外いらないからね。



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