俺カゴサイドストーリー
とにかく親は嫌いだというのを知ってる。



理由も知ってる。



そんな虎宇が親のいいなりになるのは、今の自由との交換だって言ってた。



もし、親の言うことをきいていなかったら、たぶん家から出れないって。



だから仕方ないこと。



「アスカちゃん、そろそろマジでデートしてよ」

「今はマジでやめた方いいよ。あんた仕事失ってどこでも雇ってもらえなくなってもいいわけ?」

「意味わかんないよ。でね、いい感じのイタリアン見つけたんだけど~」



絶対聞こえてるよね…。



だけどチラッ見た虎宇はオーナーと話していた。



大丈夫かと思った瞬間、ドンッとテーブルの上に置いてあったコースターにアイスピックが刺さった。



「次、その口開いたらマジで刺すよ?」



笑顔の虎宇が登場。



店内の静かな空気の中、オーナーだけが虎宇に熱い視線を送っていた。



「お前…なんだよ…」

「アレ?刺されたいの?今喋ったよね?お兄さんドM?」



これ、マジだ…。



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