俺カゴサイドストーリー
気がつけばネクタイを引っ張り、顔にツバを吐いてしまっていた。



あっ、やっちゃった…。



「こんな惨めな思いをしたのは初めてだ!!」



そう言って会計もせずにお店から逃げてしまって…。



肩を震わせて笑っている虎宇に赤面。



だって虎宇のこと悪く言われたから…。



「あっちゃん、常連さん逃げちゃったじゃん」

「ごめんなさい…。給料から引いて?」

「いいよ、虎宇が払ってくれるし。おもしろかったし」



オーナーがこんなバカな人でよかった…。



もし普通のお店だったら間違いなくクビだと思うよ…。



「アスカ、俺そろそろ行ってくる」

「い、いってらっしゃい…」

「そんなに俺のこと好きなの?」

「好…き…」

「俺も好き!!じゃあオーナー、さっきのも込みで会計」



お店にお客が少なくてよかった…。



その後は当たり前のようにバイト仲間に面白がられたけど。



どうやら、あたしと虎宇は似たもの同士らしい。



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