俺カゴサイドストーリー
頑固な留宇に似ていただけかもしれない。



最近の留宇は雷さんも手を焼くほどの頑固者だ。



そんなとこ、似なくていいのに。



「コーヒー…」

「コーヒー?」

「コーヒーで手ぇ打ってやる…」

「わ、わかった!!」



パタパタと廊下を走り、階段を下りて行った世宇。



今回限りだからな。



もう関わらないから。



しばらくして世宇が持ってきたコーヒー。



それを飲んでからピアノの前に座った。



「簡単な曲…」

「音楽苦手で…」

「鍵盤の場所くらいわかるよな?」

「うん。でも楽譜が読めないというか…」

「じゃあ場所見て覚えたらいい」



俺にしたら簡単なクラシック。



それを出来の悪い妹に弾いてみせ、鍵盤の場所で教えてった。



「弾けたっ!!」

「まだ3小節」

「頑張る!!次教えて!?」



褒めたりなんかしない。



ただひたすら教えてやった。



夕飯前になんとか聴けるくらいまでに成長して、俺もビックリ。



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