俺カゴサイドストーリー
才能がないわけじゃないらしい…。



さすが留宇の妹といったところだろう。



「ピアノ教えてもらってるの?」

「うん!!お兄ちゃんってすごいね!!」

「あたしも教えてもらいたい!!」



お兄ちゃんって呼ぶなって言ったのに。



面倒だからもういいや…。



夕食後、部屋へやってきたふたりの妹。



「じゃあさっきの続きから」

「うん!!」



とても嬉しそうにピアノを弾く世宇。



それを聴いてる姉の方の久宇(クウ)。



なんだかむず痒くなってきた。



俺ってこんなキャラじゃないのに…。



しばらく練習に付き合っていたらケータイが鳴った。



相手はアスカ。



「はい?どうした?」

「バイト終わったから電話した。今日来ないの?」

「ん、今日は行かない。タイラとキャッチボールして疲れたし」

「虎宇?今どこにいんの?」

「なんで?」

「遠くでピアノの音が聞こえる…」

「妹に教えてる…」

「虎宇が!?」



俺が。



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