俺カゴサイドストーリー
出来れば言いたくなかったけどね。



でもアスカに浮気とか疑われんのは絶対ヤダし。



それでなくとも俺には婚約者っていうウザい存在がいるわけだ。



それだけでアスカも不安なはずだから…。



珍しくアスカが遠慮したので電話を切り、またピアノを教えた。



「それくらい弾けたら十分」

「ありがとう、お兄ちゃん!!」

「今回限りだから。別に礼言われるほどのもんじゃないし」

「ねぇ、さっきの電話って彼女さん?」

「俺に彼女なんていない。早く部屋戻って」

「好きな人…作っちゃいけないのかな…」

「ダメだろうね。最後はきっとどっかの取引材料だよ。話は終わり。早く出て行け」



悲しそうに部屋を出ていったふたり。



アスカの存在はバレちゃいけない。



バレたらアスカにどんな被害が及ぶかわからない…。



それに俺も…どっかに飛ばされる気がするしね。



だから絶対バレないようにしなきゃ。



アスカだけは…手放したくないから。



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