俺カゴサイドストーリー
それからしばらく、雷さんも退院し、平和な日常。



虎宇とデートの約束をしていたある日。



「ごめん、行けなくなった」

「なんで!?見たかった映画今日までなのに」

「ウソ言いたくないから正直に言う。心の準備して?」

「し、した…」

「婚約者が日本に来た」



頭が真っ白。



ついにこの日が来たのかと、変に納得する自分もいて。



ヤダな…やっぱり…。



「会う…から?」

「うん、会う」

「わかった。電話待ってるね?」

「それ、本心?」

「そんなわけないっ!!」



切ってしまった電話。



きっと虎宇を困らせた…。



すごく…困らせただろう…。



だけど言わずにはいられなかった。



すごく、すごく、イヤだったから…。



デートのために着替えた服を脱ぎ、部屋着に着替えた。



むしゃくしゃして、さっきしたばっかりの化粧を落とす。



虎宇なんて好きにならなきゃよかった…。



わかってたのに…こんなに苦しくなるなんて…。



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