俺カゴサイドストーリー
一緒にいて、楽しいことなんか何一つない。



それはお互い、同じ気持ち。



「結婚、急いでるんでしょうか…」

「困るね、それ。礼奈となんかクソくらえ」

「私も虎宇様となんか死んでもイヤ。長い間顔見てると吐き気がっ…」

「失礼だね、礼奈」



婚約者がこんなヤツだから、話しておこうと思う。



きっと喜んでくれるよ。



「盗聴器はないよな?」

「先ほど調べましたので」

「じゃあ礼奈、もし俺と結婚しなくていいってなったら、どれくらい嬉しい?」

「それはハリウッドで俳優に口説かれた時の倍嬉しいです」

「じゃあ、秘密の話をしよう」



親が用意したラウンジを出て、近くの個室レストランへ入った。



完全個室で、音は漏れないはず。



「俺、好きな人がいる」

「気の毒ですね、その方…」

「今のスルーするね?で、俺はその人しかいらないと思ってる」

「早く結論を言ってください」

「俺は数年で新島を乗っ取る」

「えっ…?それ、礼奈聞いたらまずくないですか?」



まずいだろうね。



< 52 / 80 >

この作品をシェア

pagetop