ノイズ
沙織が裕美の自殺を知ったのは、夕方のニュース番組を見ている時だった。


仲良しのクラスメートが路線バスの中で自殺。


あまりにショッキングな出来事に、夕食に出されたトンカツの味さえよく覚えていなかった。


沙織の中学は隣町で、裕美たちとは高校に入学してから知り合った。


目鼻立ちが整っているせいか、どこか冷たい印象のする沙織は5月になっても一人でいることが多かった。


そんな時、話しかけてきたのが裕美だった。


人懐っこい笑顔で一緒に帰ろう、とクラスメートに話しかけられ、それに素直に従っている自分に沙織は驚いた。


裕美は特別美人でもないし、成績も真ん中あたり。


目立つ存在ではないけれど、優しい裕美はいつも沢山の友達に囲まれていた。


そんな裕美が自殺なんかするはずがない。


「それで何かわかったの?」
< 116 / 309 >

この作品をシェア

pagetop