ノイズ
「大丈夫だよ。沙織ってば心配性なんだから」



ホームルームの時間になり、担任教師の杉浦智史(スギウラサトシ)が教室に入ってきた。


杉浦は黒縁のメガネを外すと、ハンカチで涙を拭いながら、裕美の死について報告した。


教室のあちらこちらから、耐え兼ねたように、すすり泣きが漏れはじめる。


可奈と沙織の目からも大粒の涙がこぼれ落ちた。


裕美の席をそっと盗み見ると、いったい誰が置いたのか、白い百合の花が飾られていた。


杉浦は教師らしく、最後にマスコミに余計なことを言わないよう、生徒たちに釘を刺すことを忘れなかった。


いつもと変わらない退屈な時間が、教室の中でゆっくりと過ぎていった。


授業が終わると、可奈と文也、沙織の3人はスクールバッグを持って教室を出た。


歩きながら携帯を右手で操作していた文也が呟いた。


「う〜ん、やっぱ見つかんねーな」



「もしかして、例のサイト探してるの?」



「まーな。簡単には見つからねえと思ってたけど…」


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