ノイズ
「とにかく、そこ動くなよっ!」



国道を走ってくる車に何度かクラクションを鳴らされたが、持ち前の運動神経の良さで文也は上手くかわして見せた。


可奈は歩道の真ん中で、ぼんやりと立ち尽くしている。


文也が可奈の肩を軽く揺すってやると、ようやく我に返ったようだった。


「あ…れ…文也?」



「…ったく、何やってんだよ。心配させやがって」



「だって沙織が……」



「ストップ。話は後で聞くから。ほら、早くしろよ」



文也は可奈に背中を向けると、しゃがんで見せた。


「ちょっと文也、何してんの?」



「いいから、早く俺の背中におぶされっつーの!」



「嫌だよ、文也におんぶして貰うなんて。遠慮しますっ」


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