ノイズ

可奈はムキになって大声で叫んだ。


傍目には若いカップルの痴話喧嘩に見えたのだろう。


通り掛かった中年の女性が、すれ違い様に二人を見てクスクス笑っている。


「どうした？何かあったのかい？」



パーキングエリアから戻ってきた立花が、二人の顔を交互に見ながら言った。


路肩に停めた車のテールランプの赤い光が、立花の端正な顔を照らしている。


「友達の沙織がそこの横断歩道を歩いてたんです。でも、文也は信じてくれなくて……」



「俺は見てないし。だいたい、村上がこんな所にいるはずないって」



そんな……でも、確かにあれは沙織だった。


あたしが幻を見たって言うの？


それとも、まさか沙織はもう……