ノイズ
しばらくして注文した料理が運ばれてきた。


テーブルの上に並べられた料理は美咲の大好物ばかりで、どれも美味しそうに見える。


もうダメ、限界。



あまりにも空腹だった美咲は、貪るように料理を次々と口に運んだ。


大好きなサイコロステーキを頬張って、アイスティーを喉に流し込むとやっと人心地が付いた。


「アキラさんは何の仕事してるの?」



「俺?俺はに……じゃない……ごく普通のサラリーマンだよ。ま、営業なんだけさ」



アキラはビールを一口飲んで、社会人はたいへんなんだよ……と言って肩を竦めて見せた。


今ニートって言いかけたんじゃ……?



美咲は目の前の男に不信感を覚えた。



トイレに行くふりして逃げちゃおうか。



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