ノイズ
ワゴン車は雛森市からどんどん離れ、郊外に向かって走り続けた。


長くてだらだらした坂道の先に、高い塀に囲まれたレンガ造りの大きな建物が見えてくる。


恐ろしくへんぴな場所に建っているので一見刑務所のようだが、正門から見えるマリア像が目印の聖クレア学園だ。


聖クレア学園は全寮制のミッションスクールで、生徒には政財界の令嬢が多いと聞く。


あの学園には俗世間を今だ知らない、汚れなき少女たちがいる……高橋のあらぬ妄想は膨らみ自然と股間が熱くなってくる。


「なぁ沢村。あそこからもう一人さらって来るってのはどうだ?」



「あのミッションスクールは駄目だ。父兄がお偉いさんばかりだそうだから、いくら何でもマズいだろう」



沢村はあまり調子に乗るなよ……と高橋を軽くたしなめてから、再び運転に集中した。


こいつを誘ったのは間違いだったか。



医大生の沢村はため息を付いた。


高校を卒業してから定職にも就かず、ブラブラしていた高橋にいいバイトがあるんだが……と声を掛けたのは自分だ。



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