ノイズ
高額なバイト料に釣られた高橋は二つ返事で‘それ’を引き受けた。


まぁいい。



その気になればいつでも始末出来るからな。



沢村はバックミラーに写った、高橋の顔を見て密かに笑った。


小さな温泉宿の前を通り過ぎると、廃れた別荘地に入る。


近くのスキー場を当て込んでの分譲らしいが、歯が抜けたような空き地ばかり並んでいる。


寂し過ぎる別荘地のさらに奥まった場所に「有栖川」の表札があった。


沢村はワゴン車を有栖川の別荘に横付けすると、玄関に行ってインターホンを押した。


「教授。沢村です」



ドアはすぐに開かれ、玄関には初老の男が立っていた。


「おお。待ちかねたよ。沢村くん」

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