ノイズ
個室には立花の他にもう一人いるようだった。


簡易ベッドの側に、スーツ姿の若い男性が腰掛けていた。


男性は可奈と文也の姿を確認すると、立ち上がって軽く会釈をした。


釣られて会釈を返したが、見覚えのある顔だなと可奈は思った。



「君達が何故ここに…?佐々木の奴め、二人にはあれ程言うなと言ったのに」



「ごめんなさい。でも、あたしたち立花さんのことが心配だったんです」



「俺のことは心配しなくていい。それより二人に言っておかなくてはならないことがある」



立花はゆっくりと上体を起こすと、可奈と文也の目を真っ直ぐに見つめた。



「君達二人には色々と協力して貰った。本当に心から感謝している。だからもう、ここから先は俺たち大人に任せて欲しい」



「立花さん、それってどういう意味なんですか!」



思いがけない言葉に怒りさえ覚え、思わず立花に掴みかかろうとした文也だったが、あっさりとスーツ姿の男性に静止された。

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