ノイズ
「後藤文也くん。怪我人に乱暴するのは関心しないな」



「あんたどうして俺の名前を……イテテテッ!」



いつの間に背後に回ってきたのか、男性が素早い動きで文也の腕を後ろ手に捻る。



「止めろ大介!」



「すみません。職業柄つい…」



スーツ姿の男性は文也に向かって悪かったね、と謝ると直ぐに手を離した。



「文也くんもわかってくれ。君達をこれ以上危険な目に合わせる訳には行かないんだ」



「あたしにはわかりません。一緒に真相を突き止めようって言ったじゃないですか。仲間だと思ってたのに、どうして?」



可奈もいつしか感情的になってしまい、最後の台詞は涙声になっていた。


「自殺シンドローム」について調べ始めた時から、危険なのはお互いに承知していたはずだ。


今頃になって何故そんなことを立花が言うのか、どうしても納得がいかなかった。


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