ノイズ
昨日今日と、繰り返し電話とメールを送っているのだが、沙織からの着信が一つもないのだ。






嫌な予感がする。






言い知れぬ不安感に堪らなくなった可奈は廊下へ出た。






一年生の教室は3階にある。






3階には通常の教室の他に図書室があった。






数年前近所に住む篤志家が大量の本を寄贈してくれたおかげで、高校の図書室にしては蔵書が多く、読書好きの生徒には人気があった。






沙織もご多分にもれず読書好きなタイプで、放課後は図書室へ行って、ミステリー小説を借りてくるのが習慣となっていた。






沙織は図書室にいるかも知れない。






可奈はゆっくりと図書室の扉を開けた。






朝の図書室は静寂に包まれていて、生徒の数もまばらだった。


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