ノイズ
いや、何者かに取り憑かれている沙織がそう簡単に諦めるはずがない。






沙織は扉を睨むように目を細めると、ゆっくりと右手をかざした。






すると、カチリと扉の開く音がした。






沙織は無表情のまま扉を開けて、屋上に一歩踏み出した。






「待って、沙織!」






可奈は叫びながら、沙織の腰へと腕を伸ばし、左右の手をしっかりと組んで腰に抱きついた。






だが、沙織はさらに強い力で可奈の体を振り解こうともがく。







何とかして沙織を止めなければ。






でも、どうやって?






どうすればあたしの声が届くの?






可奈の目に涙が滲んだ。




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