ノイズ
泣いてる場合なんかじゃない。







沙織を絶対助けるって、文也と2人で約束したんだから。







今ここで踏ん張らないと、一生後悔することになる。








可奈は両目を強く瞑り、迷いを振り払うように頭を強く降った。







さらに気合いを入れるために自分の頰も張り倒したかったが、今の可奈に両手は使えない。







ふっーと息を吐きながら、丹田に意識を落とすように下腹部に力を込めてコンクリートの床を踏み締める。







後は沙織の心にどれだけ語りかけることが出来るかだ。






「沙織。文也に告白するんじゃなかったの!」







可奈が文也の名前を叫ぶと、沙織の動きが止まった。







「沙織は文也のことが好きなんでしょ?」






「……文也くん………」






文也の名前を聞いたとたん、沙織の顔に生気が戻った。






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