ノイズ
「そろそろ文也も朝練終わるよ。早く教室に戻ろう」






「……うん……」







可奈は沙織の腰を掴んでいた手をゆっくりと離した。







ありったけの力を込めて腰にしがみ付いていたせいで、腕に鋭い痛みが走る。







明日はきっと筋肉痛に悩まされるに違いない。






それでも沙織を救うことが出来たのだから、これぐらい大したことはない。







「沙織。早く行こう」








ホームルームの時間が迫っているのも気になったが、何より一刻も早く屋上から立ち去りたい気持ちの方が強かった。







「……ううっ!……」








沙織は苦しそうに呻き声を上げながら、その場にしゃがみ込んだ。







「どうしたの沙織?どこか痛いの?」



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