ノイズ
これは間違いなく沙織じゃない。






小学生の時に嗅いだあの嫌な匂いは忘れたくても忘れられない。






「おえっ」






胃の中に酸っぱいものが込み上げてきて、思わず吐きそうになる。






嘔吐くのを堪え、可奈は唾を飲み込んだ。







冷たい腕は手の平で可奈の首筋を這うように撫で回したかと思うと、不意に首を締めてきた。







「う…やめて……」







腕を振り解こうと必死に抵抗したものの、死人の腕はさらに強い力で締め上げにかかる。









あたしここで死ぬの?








沙織のことも助けてないのに……







そんなのって…嫌だ!



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