ノイズ
警察の現場検証と可奈の証言により、沙織の死因は自殺と断定された。






沙織の死はあっという間に学校全体に知れ渡り、緊急に開かれた職員会議によって、全校生徒は速やかに全員下校ということになった。






ぞろぞろと一斉に下校を始めた生徒たちと混ざりながら、可奈と文也は駐輪場まで歩いていった。






二人とも自転車には乗らず、無言で自転車を押して歩く。






可奈の目は泣き続けたせいで、兎の目のように真っ赤に充血していた。







沙織が自分を守るためとはいえ、屋上から飛び降り自殺を図ったことはショッキングであり、とても悲しかった。






あれほど沙織を死なせない、絶対沙織を助けると文也と一緒に誓ったはずなのに、結局は助けることはおろか何一つ出来なかったのだ。






立花の言う通り、あまりにも自分たちは無力であり、無知で馬鹿な子供に過ぎないのだということを嫌という程思い知らされる結果となった。





もう何もかもどうでもいい……





ふいに、可奈の心にぽっかりと暗い穴が開いた。





その穴から真っ黒い物が溢れ出て、じわじわと全身に広がっていくような錯覚を覚える。
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