ノイズ
ノイズとノイズの間に幼い子供が歌っているような声が聞こえる。



それはどこかで聞いたような気がする懐かしいメロディだった。




イヤだ。



聞きたくない。





本能が危険を告げていた。



だが女子高生は金縛りにあったように動くことも出来ず、携帯を握ったままその場に立ち尽くしていた。



歌とノイズがだんだん高くなっていく。




歌とノイズが携帯のスピーカーを通して鼓膜を衝き抜け、一気に脳内へと流れ込んでいった。



意識が暗闇の底に沈むと、女子高生の顔からいっさいの表情が消えた。


携帯がゴトンと床に転がる。


まるで何かに操られるようにスクールバッグを開けると、ペンケースからカッターナイフを取り出した。

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