ノイズ
女子高生はカッターナイフを高々と持ち上げ、自分の首筋に当てるとそれを一気に滑らせた。



細い首筋からポタポタと鮮血が滴り落ち、バスの座席と床がみるみる真っ赤に染まっていった。




最初にこの異変に気付いたのは後部座席に座っていた主婦だった。



口を覆うように両手を開いた主婦は恐怖の叫び声をあげた。



「あなた何をしてるの?」




前列の座席に座っていたサラリーマンの男も、この騒ぎに気付いて大声で叫んだ。



「おい早く止めろ!」




床に流れる大量の血液を見てしまった小学生の女の子は、火が付いたように激しく泣きじゃくった。



「うわーん!」




「運転手さん!早くバスを止めてっ!」




異常事態を感じた運転手はバスを急停車させた。
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