ノイズ
立花は伝票を持って立ち上がると、さっさとレジに行ってしまった。


可奈と文也が慌てて後を追いかけたが、支払いはとっくに済ませた後だった。


三人がファミレスの外に出ると、都会では見られない満天の星空が頭上に広がっていた。


「きれい……」



今日は親友が亡くなった悲しい日なのに。


それでも美しい物を美しいと感じる心が、自分にもまだあることが不思議だった。


裕美という宝物を永遠に無くしてしまった坂井家の人々は、いったいどんな思いで夜を過ごすのだろう。


また泣きそうになってしまった可奈は、星を眺めるふりをして何度か目をしばたたかせた。


「送って行くよ。二人とも乗って行かないか?」



「自転車で帰りますから大丈夫ですよ。二人乗りだけど」



「俺の方からも連絡するが、何かあったらいつでも携帯に電話してくれ」



可奈と文也に別れを告げ、立花は車で西方面へと走り去った。
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